2023年の年度更新の主な改正点を今回は、昨年よりKAORI労務サービスオフィスに加わった、私、渡邊燈子が解説させていただきますね★
雇用保険料率が年度の途中で変更することにより、労働保険の年度更新の計算方法が
複雑になります。以下、主な変更点をご説明いたします。
1.雇用保険料率の変更について
雇用保険料率は次の表の通りです。
➀ 令和4年度確定雇用保険料率 (算定期間途中での保険料率の変更があります)
🔵 算定対象期間 R4.4.1~ R5.3.31 | ||
前期 | 後期 | |
事業の種類 | R4.4.1~R4.9.30 | R4.10.1~R5.3.31 |
一般の事業 | 9.5/1000 | 13.5/1000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 11.5/1000 | 15.5/1000 |
建設の事業 | 12.5/1000 | 16.5/1000 |
②令和5年度概算雇用保険料率(令和5年4月1日に変更)
🔵 算定対象期間 R5.4.1~ R6.3.31 | |
事業の種類 | 保険料率 |
一般の事業 | 15.5/1000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 17.5/1000 |
建設の事業 | 18.5/1000 |
※保険料率の変更について
2.労災保険料率について
労災保険料率は変更はありません。
上記により労働保険料の集計方法が変わります!
令和4年度確定保険料は、保険料算定基礎額と保険料額を労災保険分と雇用保険分ごとに、
前期(令和4年4月1 日~同年9 月30 日)と後期(令和4年10 月1日~令和5年3月 31日)に分けて算出します。
2.前期・後期により料率が変更したのは雇用保険料率だけですが、労働保険料率に関しても
前期・後期で分けて計算することとなりました。
3.https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/xls/shinkokukeisan_tool_keizoku_b_2022.xlsx
上記に添付いたしました賃金算定集計表をご覧頂くとお分かりのとおり、真ん中に合計欄が出ています。
前期の計と後期の計が出ており、最後に合計が出てきます。
雇用保険だけではなく労災保険も前期・後期で分けています。
4.端数処理について
労災保険・雇用保険を算定するときの賃金総額は、昨年までは1,000円未満切り捨てでした。
2023年度の切り捨て手順は「前期の計の箇所で切り捨て」「後期の計の箇所で切り捨て」となりました。
前期と後期の切り捨てたものを足し合わせたものを最終的な年間の合計額とします。
賃金集計表【様式変更】https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/kakikata/dl/keizoku-09.pdf
前期で切り捨てた賃金総額×前期の雇用保険料率
後期で切り捨てた賃金総額×後期の雇用保険料理率
労災についても料率の変更はありませんが同じ方法で計算します。
5.申告書への記載
申告書は前期で切り捨てた総額と後期で切り捨てた総額の合計を記載します。
6.一般拠出金の計算について
通年の算定期間において算出した支払総額に一般拠出金率を乗じて算出します。
例年通りの計算方法です。ただし、労災と雇用保険は分ける必要があります。
※端数処理の関係で労災保険料と算定基礎額に千円の差が出ることがあります!
7.令和5年度の概算労働保険料の計算方法について
令和5年度については雇用保険を分ける予定はないので、例年通りの方法です。
8.令和5年4月より雇用保険料が上がるので、概算保険料も上がります。
概算保険料が上がることで会社様は決算等の関係もありますので十分な注意が必要ですね。
最後に
2023年度更新は複雑です。
もし、疑問点がありましたら、お気軽にご相談下さい。
なお、弊社代表羽根香緒里は、昨年度に引き続き今年度も、東京都社会保険労務士会で
年度更新の説明会の講師として登壇させていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします