会社でパワハラ(パワーハラスメント)を受けて精神を病んでしまった・・・
残業が多く休みが取れず精神を病んでしまった・・・
労災申請したい・・・。
ところで仕事が原因で精神を病んでしまったときの労災認定ってどうやって判定されるの?
厚生労働省では「精神障害の労災認定基準について」に基づいて労災認定を行っています。
こちらご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html
そして社会情勢の変化や、精神障害の労災保険給付請求件数も年々増加していることから、
より適切な認定・審査の効率化を図るため、令和5年9月1日に精神障害の認定基準を改正しました。
認定基準の改正ポイント
1.業務による心理的負荷の評価表を見直しました
2.業務以外で既に発病していた精神障害の悪化について労災認定できる範囲を見直しました
3.速やかに労災決定ができるよう必要な医学意見の収集方法を見直しました
それでは内容をみていきましょう。
1.業務による※心理的負荷の評価表を見直しをしました
例:顧客から「バカ」「〇ね」等など執拗に何度も罵倒された行為の心理的負荷は「強」になります。
※具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
例:医療従事者等が感染の危険性の高い業務に急遽従事することになり、防護対策も試行錯誤しながら
実施する中で病院内における感染の被害拡大も生じ、死の恐怖感を感じつつ業務を継続する など
※心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充
(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)
〇パワハラの6類型すべての具体例、性的指向・性自任に関する精神的攻撃等を含むことを明記
〇一部の心理的負荷の強度しか具体例が示されてなかった具体的出来事について、他の強度の具体例を明記
ところでパワーハラスメントの6類型って何? 一応明示しておきますね。
➀ 精神的な攻撃
※同僚の目の前で叱責される、他の職員も含めメールで罵倒される、必要以上に長時間執拗に叱る 等
② 身体的な攻撃
※叩く、殴る、蹴る、丸めたポスターで頭を叩かれる 等
③ 過大な要求
※新人でやり方も分からないのに他の人の仕事まで押し付けられ同僚は皆先に帰ってしまった 等
➃ 過少な要求
※運転手なのに営業所の草むしりだけやらされた、事務職なのに倉庫内の仕事ばかりさせられた 等
⑤ 人間関係からの切離し
※一人だけ別室に移される、性的志向、性自認などを理由に職場で無視する等コミュニケーションを取らない、
無視する等
⑥ 個の侵害
- ※交際相手について執拗に問われる、妻に対する悪口を言われる等
2.業務以外で既に発病していた精神障害の悪化について労災認定できる範囲を見直しました
改正前➡悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がなければ業務起因性を認めていない。
改正後➡悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、
「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める
この「特別な出来事」とは、次のような場合です。
①生死にかかわる、極度の苦痛を伴う業務上の病気や怪我をした場合
②発病直前の1ヶ月に概ね160時間を超えるような時間外労働を行った場合
(又は3週間に概ね120時間以上の時間外労働を行った)
問題となっている業務による心理的負荷を受ける前から精神障害の通院歴があり、業務による強い精神的負荷により精神状態が悪化した場合のことをいいます。
要件が緩和されたのですね。
3.速やかに労災決定ができるよう必要な医学意見の収集方法を見直しました
改正前➡ 専門医3名の合議による意見収集が必須な事案
例:自殺事案、「強」かどうか不明な事案
改正後➡ 特に困難なものを除き専門医1名の意見で決定できるように変更
※より効率的な審査を行う観点から支給・不支給の決定にあたり必要となる医学意見の収集方法が
見直されました。
これにより、審査に要する時間を短縮できる事案が増加します。
今回の改正点は以上です。
会社の経営者様、人事担当者様はこれまで以上にメンタル面での労災が起こらないように
ストレスチェックの結果などを踏まえたり、残業時間を削減したり等対策がより一層もとめられてくるでしょう。
当事務所では、
メンタル面での労災が起こさないためのパワハラ対策やアンガーマネジメント研修なども経験豊富です。
社員、スタッフお一人お一人にきめ細やかな対応をして参りました実績があり、経営者の皆様からの
信頼も篤いです。なにかお悩みのことがありましたらお気軽にどうぞご相談下さい。
ご拝読ありがとうございました。