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「フリーランス新法」施行されます!

「フリーランス新法」施行されます!

 

昨今、日本では働き方が多様化し、推定でも462万人がフリーランスとして働いていると試算されています。

(2020年、内閣官房)

また、企業の副業解禁も増えており、今後もますます広がっていくことが予想されます。

その一方で、フリーランスが取引先との関係で、報酬不払い、支払遅延やハラスメント等、

様々なトラブルが起こっていることを踏まえ、フリーランスと発注事業者の間の「業務委託」に係る事業者間取引を規制する「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が2023年5月12日に公布され、2024年秋頃にスタートされる予定となっています。

 

フリーランス法は、組織と個人の力(交渉力や情報収集力)の格差に着目した法律でありフリーランスの保護において重要であることはもちろんのこと、フリーランスに業務を委託する発注側の企業などにとってもリスクを回避するために必要といえます。

 

フリーランス新法における発注事業者がしなければならないことを簡単にまとめてみました。 発注事業者となる中小企業・小規模事業者の皆様はぜひご覧ください。

 

フリーランス新法の法律の対象の「フリーランス」の定義

➀業務委託の相手方であって従業員を使用しないもの

※従業員の使用の有無に注目

「従業員を使用しているか」は単純に人を雇っているかで判断してはならず、

☆従業員を使用している = 人をやとっている ではありません。

ここでいう従業員を使用しているかどうかという基準は

週労働20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる方」を雇用していることを目安にします。

従業員に該当しない例

・週30時間労働・2週間の雇用見込

・週15時間労働・2か月の雇用見込

・週15時間労働・2週間の雇用見込

②従業員のいない法人も含まれる

③業種、業界の限定無

プログラマー、デザイナー、インストラクター、歌手、俳優などや1人親方と言われる建築・建設現場の職人も含まれます。

➃年齢制限なし

1.取引条件の明示義務とは

フリーランスと取引する全ての発注事業者の義務として、取引条件の明示義務があります。

「フリーランス対し業務委託をした場合は、直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面又は電磁的方法により明示する義務を負う」<法3条>

この義務は、企業だけでなく、発注側がフリーランスであっても適用があるので守らなければなりません。

この明示義務により、フリーランスは取引の条件を理解した上で仕事を受けられることが出来ます。

あくまでも明示事項を文字で明示していくことを義務づけるものですので、

「契約書の書式(甲は乙に対して・・)」にこだわって作成する必要はありませんが、

契約内容に齟齬がないことが重要です。

契約書を作成しないことをお勧めしているものではありません。

≪契約条件明示義務≫

(1.~3は絶対的明示事項となります。4.~9は有識者の検討会で明示する方向性が示されたもので今後公正取引委員会の制定を待つ必要があります。)

1.給付の内容(絶対的明示事項)フリーランスに依頼する仕事の内容

2.報酬の額(絶対的明示事項) フリーランスに支払う仕事の対価

委託する際に、具体的な額が定められない場合は具体的な金額を定めることとなる算定方法を記載でも可。

3.支払期日(絶対的明示事項)支払日が具体的に特定出来るように記載必要。

原則として給付を受けた日から60日以内の出来るだけ早い日を支払期日として

定める必要があります。

※支払日が具体的に特定して下さい。「◯月◯日に支払う」「毎月末日に支払う」

※再委託の場合は発注元から支払いを受ける期日から30日以内

4.発注事業者と受注するフリーランスの商号、名称等(発注側と受注側、両方の名称必要)

5.業務委託をした日(フリーランスに業務を委託した日のこと)

6.給付・役務提供の期日(いつまでに・どこに納品するのか)

7.給付・役務提供の場所(いつ、どこで作業するのか)

8.給付、役務に検査をする場合、検査完了日(検査が完了する日のこと)

9.報酬の支払方法に関して必要な事項

(手形交付・一括決済方式、電子記録債権、デジタル払で報酬を支払う場合に必要な事項)

 

2.報酬支払期日の設定・期日内の支払

【原則】

発注した物品等を受領した日、又は役務の提供を受けた日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払うこと。

・起算日を1日目としてカウントします。

物品を受け取った日・役務の提供を受けた日 8月1日 ➡ 60日後は9月29日 となります。

※支払期日は必ず定めましょう。定めなかった場合は、物品を受領した日、役務の提供を受けた日が支払期日となります。

【再委託の例外】

元委託者から受けた業務の一部又は全部を、フリーランスに再委託をし、かつ、必要事項を明示した場合、再委託に係る報酬の支払期日は、元委託支払期日から起算して30日以内のできる限り短い期間内に定めることが出来る。

 

再委託の例外がみとめられるための事項

「期日における報酬支払義務」での例外が認められるための事項のこと。

※「期日における報酬支払義務」

フリーランスに再委託している場合、「元委託者が定めた支払期日から30日以内」の支払がOKとなる例外がある。「再委託の例外」の起算日は、元委託の支払期日です。

 

🏢 A業務を委託   ➡     🏡  A業務の一部又は全部を委託  ➡   👧

〖元委託者 〗☆元委託 〖発注事業者〗   ⭐再委託          【フリーランス】

 

※「再委託の例外」が認められるための条件

(Ⅰ)フリーランスへの委託が再委託であること

  • 元委託者の氏名又は名称

(3)元委託業務の対価の支払期日

(1)~(3)をフリーランスに明示すること

※なぜ、「再委託の例外」ができたのか?

フリーランス法は中小企業・小規模事業者も規制の対象に入っていることから

中小企業・小規模事業者にとって自らが報酬の支払を受ける前に、フリーランスに報酬を支払うことは事業経営上の負担が大きいため例外が設けられました。

※前払金の配慮

「再委託の例外」を適用した支払期日は 例外の適用がない場合に比べてフリーランスへの報酬が遅くなる場合があるため、発注業者が、元委託者から前払金の支払を受けている場合に限り、フリーランスへ業務の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮を求めています。

3.7つの禁止事項

フリーランスに対し継続的業務委託をした場合に法律に定める行為をしてはならない。

➀フリーランスに帰責事由の無い受領拒否の禁止

※発注者の一方的都合により発注取消しをして受け取らないことも「受領拒否」にあたる。

②フリーランスに帰責事由の無い報酬の減額の禁止

※減額についてあらかじめ合意があったとしても、フリーランスの責めに帰すべき事由なく減じた場合は違反となる。

③フリーランスに帰責事由の無い返品の禁止

➃買いたたきの禁止

※以下のような要素を総合考慮される。

1.対価の決定方法 2.差別的であるかなど対価の決定内容 3.同種又は類似品等の市価との乖離状況

4.給付に必要な原材料等の価格動向

⑤正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること。

※物には「製品、原材料等」 役務は「保険、リース等」が含まれる。

⑥フリーランスに経済上の利益を提供させその利益を不当に害することの禁止

※問題となる場合

1.フリーランスの直接の利益とならない場合

2.フリーランスの利益との関係を明確にしないで提供させる場合

⑦フリーランスの帰責事由無く給付内容を変更し又はやり直しさせその利益を不当に害すること

※発注の取消や受領した後にやり直しや追加作業を行わせるなどの場合に、「フリーランスが作業に当たって負担する費用を発注事業者が負担しないこと」をいう。

 

これらの禁止行為をしないように会社での研修など今後に向けて対応が必要となりますね。

ところで、企業に勤務しつつ、副業として個人で配達の仕事をしている場合、

フリーランスに該当するのか?昨今増えているのウーバーイーツなどの配達員はどうなるのでしょうか?

副業は、業務をお願いする企業との関係でフリーランスに該当するかを考える必要があります。 副業はフリーランス法の対象になり得るのです。

4.募集情報の的確表示

・広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはいけないこと。

・内容を正確かつ最新のものに保たなければならないこと。

求人内容と実際の契約内容が異なることでトラブルとならないために必要です。

 

5.育児・介護等と業務の両立に対する配慮

・継続的業務委託についてフリーランスが育児や介護などと業務を両立出来るようフリーランスの申出に応じて必要な配慮をしなければならないこと

たとえばフリーランスが「妊婦健診を受診するための時間を確保できるようにしたり、就業時間を短縮する」「育児や介護等と両立可能な就業日、時間としたりオンラインで業務を行うことが出来るようにする」といった対応が必要となってきます。

 

6.ハラスメント対策に係る体制整備

・フリーランスに対するハラスメント行為に関する相談対応のための体制整備などの措置を講じること。

「従業員に対してハラスメント防止のための研修を行う」「ハラスメントの相談担当者を決める」「ハラスメントが発生した場合は迅速に事実関係を把握する」などの対応が必要です。

現状、既に就業規則に明記し、従業員へ周知しているハラスメント対策をフリーランスへも適用することで対応出来ると思われます。

もし、就業規則への明記をされておらず、ハラスメント対策を行っていない場合は、早急に法整備をする必要があります。

 

7.中途解約等の事前予告・理由開示

継続的業務委託を中途解約したり、更新しないこととしたりする場合は原則として30日前までに予告しなければならないこと。

【違反行為への対応について】

違反行為を受けたフリーランス事業者はフリーランス・トラブル110番を経由するなどして、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省に今後設置する窓口に申告が出来ます。

行政機関は、その内容に応じて、違反業者に対し、以下の対応を取ります。

➣報告徴収・立入検査 ➣指導、助言 ➣勧告

➣勧告に従わない場合の命令 ※公表 ※命令違反には50万円以下の罰金

 

いかかでしたでしょうか。

フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会のHPを参考にまとめさせて頂きました。下記リンクを貼っておきますのでご参考にされて下さい。

 

フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組 | 公正取引委員会 (jftc.go.jp)

 

001115385.pdf (mhlw.go.jp)

 

フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ |厚生労働省 (mhlw.go.jp) 厚労省HP

 

中小企業庁:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法) (meti.go.jp) 中小企業庁HP

最後に

フリーランスは「拘束されずに働ける」「多様な働き方が出来る」という自由なイメージがありますが、仕事中に怪我をしても労災はありませんし、出来高払での報酬なので、いくら働いたとしても残業代もありませんし、休日出勤という概念もありません。

仕事の内容がフリーランスとして適正があるものなのか、労働者性が強いものなのかを慎重に吟味する必要があると思われます。

今迄社員であったのに、業務委託契約に切り替えるということは、会社側にとってもリスクが高いものと考えます。

勤務時間、勤務場所について拘束されている、仕事上、細かい指揮命令を受けているなどの場合、偽装フリーランスとなりかねませんし、実態として労働者であることが認められた場合は、割増賃金の支払の可能性も出てきます。

 

フリーランス新法は、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するために、業務委託をする事業者との間の➀取引の適正化②就業環境の整備を図ることを目的とした法律です。

フリーランス(個人)が組織との間において不当な扱いを受けないために安心して働けるための法律です。

今後、ますます多様な働き方が多くなっていくことが予想されます。

今後仕事中の事故などに対応できる労災等に加入出来る法律が出来たら・・・などフリーランス新法の今後にも期待したいです。

ご拝読ありがとうございました。

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