はじめに
このブログでは、中小企業の経営者の方々に、皆さんの会社の「人とお金」や「法改正に伴ういろいろ」をお伝えしてきました。
今回取り上げるのは、有給休暇です。
経営者のみなさん、子育て中のパート勤務の従業員さんから、こんな申し出を受けたことありませんか?
「子どもの入学式があるので、お休みをいただけますか」
「急に熱を出してしまって……今日は有給を使えますか」
「運動会なので、来週の土曜の振替でお休みしたいんですが」
子育て中のパート勤務の保護者にとって、有給を使いたい場面は1年を通じて何度も訪れます。入学・入園のある4月、行事の多い5〜6月、夏休みなどの長期休暇、学級閉鎖が増える秋冬——。
そのたびに「パートに有給ってあるの?」「忙しいから、断っていい?」と思った経営者の方、実はその対応、法律違反になるリスクがあります。
「知らなかった」では済まされないのが労働法のルール。この記事では、パート・アルバイトの有給休暇について、経営者として最低限押さえておきたいポイントをわかりやすく整理しました。
① そもそも、パートにも有給は発生するの?
答えは、「はい、発生します」。
有給休暇は、雇用形態(正社員・パート・アルバイト・契約社員など)に関係なく、以下の2つの条件を満たせば付与が必要です。
【有給休暇が発生する条件】
- 雇い入れの日から 6か月以上継続して勤務していること
- その期間の全労働日の8割以上 出勤していること
この条件を満たせば、週1日しか働いていないパートさんにも有給は発生します。
付与日数は「週の所定労働日数」で決まる
正社員は年10日〜20日の有給が付与されますが、パート・アルバイトの場合は所定労働日数に比例した日数が付与されます(比例付与)。

つまり、「週3日のパートさんには6か月後に5日の有給が発生する」——ということになります。
② 「有給を断る」ことはできるの?
原則として、会社は有給休暇を断ることはできません。従業員が「〇日に休みたいのですが」と申請してきたら、基本的には認める必要があります。
ただし、一つだけ例外があります。それが「時季変更権」です。「時季変更権」とは、労働基準法で定められており、労働者が申請した年次有給休暇の取得日を、会社が「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、別の日に変更できる権利のことです。
また、これはあくまでも「日にちを変更してもらう」ことができるだけで、「有給を認めない」ことはできません。
時季変更権の行使においては、明確な理由が必要で、例えば「繁忙期だから」といったあいまいな理由ではできません。退職直前に、有給を消化することは労働者の権利なので、その時期の有給取得に対して時季変更権の行使も認められません。

③「年5日の有給休暇の取得義務」パートにも適用される?
2019年の法改正により、年10日以上の有給が付与されている従業員には、そのうち5日は使用者(経営者)が時季を指定して取得させることが義務づけられました。
パート勤務などの所定労働日数が少ない労働者については、年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与されます。比例付与の対象となるのは、所定労働時間が週30時間未満で、かつ週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者です。

④有給と「子の看護等休暇」、何が違うの?
「子供のために休む=有給」と思いがちですが、実は目的によって使える休暇制度が違います。
2025年4月の法改正で、「子の看護等休暇」という制度が使いやすくなりました。これは、有給休暇とは別に取得できる休暇です。参考:厚生労働省HP「子の看護等休暇」より

経営者として覚えておきたいのは、「子の看護等休暇」をうまく活用する仕組みを整えることで、従業員にとっても会社にとっても、柔軟な対応が可能になります。「子の看護等休暇」の活用には、就業規則で定める必要があります。法改正に伴う就業規則の更新がすんでいない会社は、早めの確認をおすすめします。
⑤まとめ 経営者が押さえておきたい4つのポイント
- ✅パート・アルバイトにも有給は発生する。
雇用形態は関係なく、6か月以上継続勤務+8割出勤で付与義務が発生する。 - ✅有給申請は原則断れない。
「時季変更権」は、あくまでも「日にちを変えてもらう」権利。取得そのものを却下することはできない。 - ✅「年5日取得義務」はパートにも適用される。
年10日以上の有給がある従業員には、会社側が年5日以上の取得を管理する義務がある。 - ✅「子の看護等休暇」との使い分けを整理する。
法改正により、有給とは別に取得できる制度を活用することで、従業員と会社側双方にとっての柔軟な対応で
働きやすい環境を整える。
「制度があるのは知ってるけど、うちはどうすればいい?」「取得義務?どうやるの?」そんな疑問や不安を一人でかかえていませんか?そんなお悩みはぜひ私たちにご相談ください。一緒に解決していきましょう!
皆様の事業のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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