2025年の人事労務関連の主な法改正について

2025年には、社会保険、労働保険、雇用保険分野など人事労務関連で様々な法改正が予定されています。これらの改正は、会社の労務管理や人事関連、従業員の今後の働き方に大きく係る可能性があります。今回は2025年からの人事労務関連の主な法改正点の中で実務面で大きく係る改正点を3つ取り上げました。ご参考にされて頂ければと思います。

 

1.希望する離職者に対してマイナポータルへの「離職票」の直接送付を開 始(令和7年1月~)

2.令和7年3月分からの

「協会けんぽ」の保険料率が決定

3.高年齢雇用継続給付の支給率が変更されます(令和7年4月~)

 

 

1.希望する離職者に対してマイナポータルへの
「離職票」の直接送付を開始(令和7年1月~)

 

2025(令和7)年1月から、希望する離職者のマイナポータルに「離職票」を直接送付するサービスが開始されます。

「離職票(雇用保険被保険者離職票)」は、離職者が雇用保険の求職者給付(基本手当等)を受給するために必要となる書類です。

ハローワークが交付するものですが、それが離職者に送付されるまでの流れが短縮されます。

厚生労働省からリーフレットが公表されていますので、そのポイントを確認しておきましょう。

― 2025年1月から、希望する離職者のマイナポータルに「離職票」を直接送付 ―

するサービスを開始します!

 

事業所から離職者に郵送等を行う事務がなくなります。

雇用保険の離職手続きを電子申請で提出いただいた後、ハローワークによる審査が終了したら自動的に離職票等の書類が離職者のマイナポータルに送信されます。

 

「離職票」等が送付されるまでの流れ

「事業所から離職者に郵送等を行う事務がなくなる」と会社側の手間はかなり省けますが、

このサービスを利用するためにはいくつかの条件がありますのでご注意下さい。

○このサービスの対象となる条件

➀ 届け出たマイナンバーが被保険者番号と適切に紐付いていること

② 離職者ご自身にマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定を 行っていただくこと

③ 事業主より電子申請で雇用保険の離職手続きを行っていただくこと

下記に厚労省のリーフレットを添付いたしましたのでご確認下さいませ。

【事業主の皆さまへ】2025年1月から、希望する離職者のマイナポータルに「離職票」を直接送付するサービスを開始します>

・事業主向けリーフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001353550.pdf

 

・被保険者向けリーフレット

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001353163.pdf

 

2.令和7年3月分からの「協会けんぽ」の保険料率が決定

全国健康保険協会は、基本的に、毎年1回、3月分(4月納付分)から適用される保険料率の見直しを行います。

令和7年3月分から適用される保険料率は、次のように決定されました。

―――――――――― 令和7年3月分からの協会けんぽの保険料率 ―――――――――

1 一般保険料率〔都道府県単位保険料率〕   (大分県のみ変更なし)

北海道 10.31% 石川県 9.88% 岡山県 10.17%
青森県 9.85% 福井県 9.94% 広島県 9.97%
岩手県 9.62% 山梨県 9.89% 山口県 10.36%
宮城県 10.11% 長野県 9.69% 徳島県 10.47%
秋田県 10.01% 岐阜県 9.93% 香川県 10.21%
山形県 9.75% 静岡県 9.80% 愛媛県 10.18%
福島県 9.62% 愛知県 10.03% 高知県 10.13%
茨城県 9.67% 三重県 9.99% 福岡県 10.31%
栃木県 9.82% 滋賀県 9.97% 佐賀県 10.78%
群馬県 9.77% 京都府 10.03% 長崎県 10.41%
埼玉県 9.76% 大阪府 10.24% 熊本県 10.12%
千葉県 9.79% 兵庫県 10.16% 大分県 10.25%
東京都 9.91% 奈良県 10.02% 宮崎県 10.09%
神奈川県 9.92% 和歌山県 10.19% 鹿児島県 10.31%
新潟県 9.55% 鳥取県 9.93% 沖縄県 9.44%
富山県 9.65% 島根県 9.94%

2 介護保険料率〔全国一律/40歳以上65歳未満の方について、1に加えて負担・納付〕

全国一律 1.59%

⭐ 大分県を除く46都道府県で都道府県単位保険料率が変更されます。また、全国一律の介護保険料率も変更されますので、結果的にすべての都道府県において、「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」が変更されることになります。

⭐ 新たな「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を確認しましょう。

⭐ なお、給与計算ソフトをお使いの場合には、その設定を変更しましょう。

 

参考資料

<令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます(協会けんぽ)>

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3130/r07/250214/

・令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)(協会けんぽ)

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/r07/r7ryougakuhyou3gatukara/

 

3.高年齢雇用継続給付の支給率が変更されます

(令和7年4月~)

2025(令和7)年4月から、高年齢雇用継続給付の支給率が、「最高15%」から「最高10%」に引き下げられます。

厚生労働省から、高年齢雇用継続給付を受給予定の方、申請予定の事業主の方に向けて、その内容を周知するためのリーフレットが公表されましたので、確認しておきましょう

― 令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します(厚生労働省) ―

具体的には、
60歳に達した日(その日時点で被保険者であった期間が5年以上ない方はその期間が5年を満たすこととなった日)が
令和7年3月31日以前の方  ・・・  各月に支払われた賃金の15%(従来の支給率)を限度として支給されます。

令和7年4月1日以降の方 ・・・  各月に支払われた賃金の10(変更後の支給率)を限度として支給されます。

☆ 高年齢雇用継続給付を考慮して、高年齢者の賃金を決めている場合には、見直しも必要となりますね。

詳しくは以下のリーフレットをご覧ください。
リーフレット001328827.pdf

 

ある日のKAORIさん家のミント(上)&ライム(下)です。

ライム君「僕も椅子の上で寝たいよ」(笑)